褥瘡(じゅくそう)とは?

個室のベッド

介護現場でよく耳にする言葉の1つに褥瘡という言葉があります。

高齢者にしばしば見られる症状ですが、きちんと予防しないと病気を誘発することがあります。

この記事では、褥瘡とは何かを詳しく紹介していきます。

予防方法にも触れていますので、ぜひ参考にしてください。

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褥瘡(じゅくそう)とは何か?

要介護者の介護をしている中で、気をつけるべきことはたくさんありますが、その中の1つに褥瘡があります。

褥瘡とは、寝たきりの高齢者に多く見られます。

体重の負荷が背中や腰周りなどに集中化することで、血流の悪化や滞りをもたらして皮膚の一部が赤くなったり、傷ができたりすることをいいます。

世間一般では「床ずれ」という名称の方が知られているでしょうか。

健常者には一般的に見られない症状

こうした褥瘡は健常者の場合にはまず見られないものです。

それというのも、私たちは普段から無意識のうちに身体を動かして血流が滞らないようにしているからです。

たとえば、眠っている間であっても寝返りを打っていますし、イスに座っていても姿勢を変えることやお尻を浮かすことで、イスとお尻の付着面積を変えて一部が長時間圧迫されないように行っているのです。

こうした動作のことを介護業界では「体位変換」と言います。

褥瘡になる人とは?判別方法は?

身体を自由に動かすことができる人が褥瘡になることは基本的にはありません。

しかしながら、寝たきりの高齢者は体位変換することが難しいため、体重が特定の部位にだけかかってしまって、酸素と栄養が十分到達しにくく褥瘡が生じやすいのです。

それでは褥瘡かどうかはどのように判別すればいいのでしょうか。

背中や腰周りに赤みを見つけた場合には褥瘡かもしれませんが、ただのニキビなどの赤みの可能性もあり判別が難しい場合があります。

しかし、簡単なチェック方法があるので心配は不要です。

指押し法で簡単に判別可能

まず、褥瘡かもしれない場所を人差し指で軽く押してみます。

3秒程度圧迫した後に指を離してその部分が白くなればそれは褥瘡ではなく、ただの赤みです。

一方、白く変化せずに赤色のままだった場合には褥瘡の可能性が高くなります。

この判別方法を「指押し法」といいます。

また、褥瘡は皮膚がただ赤くなるだけではなく、褥瘡の発生と関わりのある病気があるため注意が必要です。

例えば、うっ血性心不全、骨盤骨折、脳血管疾患、慢性閉塞性肺疾患などがあります。

こうした病気は要介護者の健康に著しい影響を及ぼします。

したがって、寝たきりの生活を送っている人の介護に携わっている人が最も注意するべきものの1つが褥瘡というわけです。

体位変換で予防する!

褥瘡にならないようにするには次のような予防方法を普段から実践することです。

まずは体位変換を時間を見計らって定期的に行いましょう。

そのときのコツとしてはお尻に体重がかかるように寝ることです。

ベッドとの接触面積が広ければ広いほど体重を分散させて個々の部位の負担を軽くすることができます。

そのため、クッションを使って30度ほど起き上がった状態に寝かせてあげるといいでしょう。

これを「30度側臥位」といいます。

体位変換させるときは摩擦やベッドからの転落を防止するために、基本的には2人の介護士が行います。

また、この体位変換は2時間以内に行うことがポイントです。

2時間以上同じ体勢でいると褥瘡が生じる可能性が高くなってしまいます。

専用寝具とスキンケアで予防する!

体圧分散寝具を使用することも効果的です。

エアマットに代表されるこの体圧分散用具は、沈み込みや包み込みによって身体とベッドの接触面積を増やして、身体にかかる圧力を減らすことができます。

ただし、日本の高齢者には皮膚のたるみがよく見られますので、骨の突出具合などにも配慮して体圧分散寝具を使うことが必要です。

スキンケアも褥瘡には効果的

さらに、意外な予防方法としてスキンケアもあります。

尿や便などの排泄物が長時間皮膚に付着して、皮膚トラブルを引き起こすと皮膚がふやけて褥瘡になりやすくなるのです。

皮膚状態をきれいに保つために排泄をした後はしっかりと洗浄して、その後に周囲の皮膚に保湿クリームなどを塗布してスキンケアをしてあげることが大切です。

ただし、高齢者の皮膚は非常に弱いので、ゴシゴシと洗うのではなく優しく洗うようにしましょう。

また、セラミド、コラーゲン、ヒアルロン酸などの代表的な保湿成分が配合されているクリームを使うと、さらに予防効果が高くなります。

このような予防方法で要介護者の褥瘡を事前に防いであげましょう。

まとめ

褥瘡は寝たきりの高齢者に多く見られる症状ですが、放置しておくと合併症も引き起こしてしまいます。

そのようなことにならないためにも、介護に携わる人は適切な予防方法を知っておく必要があります。

毎日定期的に行うのが体位変換です。

2時間毎に身体の位置を変えてあげましょう。

また、現在は体圧分散寝具も販売されています。

使用することで特定の部位に体重がかからないようにすることも重要です。

さらに、排泄物の付着による肌トラブルは褥瘡を引き起こしやすくします。

洗浄後は保湿クリームなどを使用してスキンケア対策をすることで、保湿力を高めるなどの工夫も必要になります。