食べ物を上手に飲み込めない状態の方に対して行う口内マッサージのことを、「アイスマッサージ」と言います。
マッサージによって口の中を刺激すると唾液の分泌を促し、食べ物が飲み込みやすくなることがアイスマッサージ目的です。
この記事では、アイスマッサージのやり方や注意すべき点、マッサージの効果についてを説明しています。
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目次
脳の衰えが嚥下障害を引き起こす
高齢者になると、口内の動きが鈍くなります。
もの食べるために舌を動かすことや食べ物を咀嚼してから飲み込むことは、脳からの指令によって行われるからです。
ただし、実際にその動きをしていくのは口内の筋肉となっていますが、年齢を重ねることで脳の機能が低下してしまい、脳からの指令が口内に上手く伝わらなくなってしまうのが難点です。
また口内で咀嚼した食べ物が上手く飲み込めなくなることを、「嚥下(えんげ)障害」と呼びます。
嚥下障害があると食事をする度ごとに苦労するため、食べる楽しみとはどんどん遠ざかってしまうのです。
しかも嚥下障害は、放っておくことで命を脅かす病気を招くケースすら出てきます。
嚥下障害そのものは誰しも起こり得る可能性がありますが、その状態に対して適切な処置を施すといった改善策によって、病気を予防することができるのです。
嚥下障害が招く病気の予防策として筆頭に挙げられるのが、アイスマッサージと言えるでしょう。
アイスマッサージによって口腔機能を訓練する
アイスマッサージは「口腔ケア」の一種で、家庭で出来るリハビリテーションと言われています。
口腔ケアとは介護を必要としている高齢者が増加したことから生まれた言葉で、年代を問わない口内清掃を中心にしたケアと、年齢とともに衰える口腔機能を訓練するケアの2種類に分かれています。
特に口腔機能の訓練は、高齢者の誤嚥予防や肺炎予防などといった目的を備えており、食事前にちょっとした道具を揃えるだけで簡単で効果的な口内の機能訓練ができるのです。
食べ物を消化するためには唾液が必要
唾液は食べ物を消化するために一定量が必要となっています。
しかし食事を口から食べていないと唾液の量が少なくなってしまうため、口の中が汚れやすくなるのです。
その結果口内に細菌が繁殖しやすくなり、細菌の混じった口内の汚れを間違って誤嚥してしまうことで、肺炎の危険性が大いに高まってしまいます。
口腔ケアは高齢者にとって、欠かせないケアだと言えるでしょう。
アイスマッサージはそうした口腔ケアでも、特にお勧めとなっています。
つまりこのアイスマッサージは、リハビリテーションとして非常に効果的なケアの一つと言えるでしょう。
アイスマッサージをする前に
食事を始める前には、手や口の中をきれいにしてから食卓に向かうことが大事です。
食卓につくため、歩行可能な高齢者であれば自分で手洗いをし、寝たきりの方は介護者が手をふいてあげます。
その後うがいをして、口の中を清潔にしていくのです。
うがいができない方であっても、食事の前にガーゼや歯ブラシなどで口の中全体を湿らせて汚れを取り除き、清潔な状態で食事ができるように準備していきます。
口内の汚れは細菌を繁殖させ、誤嚥性肺炎になるリスクが何倍も高くなるからです。
その際に、アイスマッサージを行っていきましょう。
アイスマッサージは本人の意識があるときに行う
アイスマッサージの目的は、誤嚥を防いで上手に食事を食べてもらうことです。
そのために、高齢者自身の目が覚めているかを確認しなくてはいけません。
いくら食事が重要だと言っても本人が半分寝ぼけた状態で食事をしているのでは、口腔ケアどころの話ではなくなってしまいます。
本人が起きていることを確かめた後に食前の口内ケアとして、アイスマッサージを実施していきましょう。
その後に食事をすることで、ムセたり嚥下を起こしたりといったトラブルのない食事ができるのです。
アイスマッサージの方法と注意点は?
マッサージのために準備する道具は、綿棒と氷水です。
アイスマッサージのやり方としては、氷水に綿棒をつけて濡らしたものを上あごと舌におよそ10回ほどつけて口内を軽く刺激します。
この刺激によって、食べ物を飲込みやすくする準備をしていくのです。
口の中の部位をなでるように刺激することで、嚥下反射を起こしやすくしてあげます。
このアイスマッサージを食事前に行うことで、高齢者が食べ始めに起こしがちなムセを減らすこともできるのです。
その他にも食べ物を口の中に入れたままで動作が止まってしまう高齢者に対して、良い刺激を与えることが可能になるでしょう。
いきなり喉奥を刺激しないこと
注意すべき点としては、いきなり喉奥を刺激しないことや口内を強く擦らないことです。
特にマッサージする力が強いと、嘔吐反射や心拍数の低下、血圧の低下による迷走神経反射等を引き起こしてしまいます。
また当然ですが、嫌がる高齢者に対してアイスマッサージを無理強いしないようにしてください。
食事を楽しんでもらおう
年齢が高くなると脳の機能が低下し、食べ物を上手に飲み込めなくなります。
そんな状態の方には、アイスマッサージがお勧めでしょう。
アイスマッサージは、家庭でも出来るリハビリテーションの種類の一つで「口腔ケア」と呼ばれる、年齢とともに衰える口腔機能を訓練するケアです。
食事前に道具を揃えてシンプルなマッサージをするだけで、効果的な口内の機能訓練が可能になってくるでしょう。
綿棒と氷水を用意し、氷水に綿棒をつけて口内を軽く刺激していきます。
このアイスマッサージを食事前に行うことで、高齢者の口内に良い刺激を与えられるのです。
マッサージする力加減に注意することや、高齢者にアイスマッサージを強制しないことが重要になるでしょう。
食前の口内ケアを行うことで、安全かつスムーズに食事をしていく状態を作ってあげてください。
高齢者に対して、食べることへの恐怖心を抱かせないようにしてあげましょう。