端座位とは?

端座位とは?

端座位とは、ベッドの端に座る姿勢です。特養や有料老人ホーム、またデイケアやショートスティの介護現場では、日々の生活や短期療養にベッドを使っています。

このベッドから移動するときや車椅子に乗せる際、食事をとるときに端座位の姿勢をとります。

介護現場においてよく知られている姿勢であるため、介護現場への転職を検討するさいには知っておくと役に立ちます。

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端座位と他の座位の違い

端座位はベッドの端に座る姿勢のことですが、介護現場には「座位」がつく似たような言葉がたくさんありますので、簡単に説明します。

介護施設では椅子に腰かけて食事しますが、この椅子に座る姿勢のことを「椅子座位」と呼んでいます。

またリクライニング機能を持つベッドを起こした状態にして座る姿勢のことを「半座位」、ベッドなどに足を伸ばして座ることを「長座位」、背中や胸に固定した器具にもたれるようにして座る姿勢を「起座位」とそれぞれ呼んでいます。

端座位やその他の座位は、呼び方が似ていますが、座る場所や座った際の姿勢の角度、もたれかかることのできる固定物の有無等によって呼び方が違います。

また介護現場では、一般的に端座位と呼ばれていますが、中には「腰かけ座位」と呼んでいる介護施設もあるので、どちらが使用されているのか確認しておくことも大切です。

端座位は回復のバロメーター

普通の生活をしているとベッドの端に座る端座位は、ごく自然で当たり前のことだと思いがちですが、被介護者にとっては難しい場合があります。

普通の方が端座位をとるには、筋肉を使って体を起こし、次ぎに手を使って体のバランスをとりつつ、足をベッドの下に降ろすという流れになります。

こうみると端座位は、想像以上に筋肉やバランス感覚が求められる動作といえるでしょう。

寝たきりや半寝たきり状態の被介護者は、身体の筋力が弱っていたり、関節が硬くなりがちなので端座位ができないこともあります。

そのため、端座位ができるようになれば、筋力が回復していると判断できます。

端座位は、介護現場において回復の程度を示す重要なバロメーターともなっています。

端座位ができると生活質も改善する

端座位の姿勢を取れるようになれば、生活の質を改善できます。

もっとも重要なのが、排泄です。人が生きている限り、食べ、排泄しなければなりません。

半寝たきりや寝たきり状態になると、自力で食事をとれなくなったり、排泄できなくなります。

食べる、出すという、生物としての基本的な機能をできなくなると精神的に負担を感じてストレスが溜まると指摘されています。

また自分で自分のことをできないと罪悪感を持ってしまったり、介護されることを情けない、恥ずかしいと感じる被介護者もいます。

端座位ができるということは、被介護者に自信を与え、同時に自分で食事をとったり、排泄するという意欲にも繋げられるため、被介護者の生活の質の改善に大きく貢献します。

仰臥位から端座位への体位変更

ベッドにずっと寝ていると筋力が徐々に弱り、体が硬直していきます。この対策として可能な限り仰臥位から端座位にし、残存機能を残す取り組みをしている介護施設も増えています。

仰臥位から端座位にする流れは、以下のようになります。まず仰臥位で両手をクロスさせ、両足の膝を曲げて足先を揃えます。

次に肩と膝に手をかけ、体を横にする横臥位にし、両足をゆっくりと動かしてベッドの下に降ろします。

介助者の腕を被介護者の頭の下に通して、肩の首の下付近に手を当てて支えながら体を起こし端座位にします。

体を起こすさいは、被介護者の肘で体重を支えるよう促し、残存機能を使うようにするのも大切です。

また足をベッド下に降ろすと腰に負担をかけるため、素早く端座位にします。

端座位をサポートする補助器具

筋力が弱ると端座位も難しくなりますが、介護施設の多くで端座位をサポートする器具を使用しています。最も多いのが、デスクタイプのものでしょう。

端座位した状態でベッドの横にデスクを据え付け、両腕をデスクの上に出して体を支えます。

この起座位用のデスクは背もたれの付け根が蝶番になっており、被介護者の背中に回してもう一方の支柱と固定すると、体を安定して支えられることから、最もよく使われているタイプです。

残存機能維持を目的にデスクの上で食事をとることもありますし、また、本を読んだり会話もしやすいためゆっくりと端座位に近づけられます。

端座位とベッドの関係

端座位を安全に行うには、ベッドの高さも重要になります。

端座位になっても被介護者の足がしっかりと床につかなければ、安定した姿勢をとれません。

そのため介護施設にあるベッドのほとんどが高さ調整できる仕組みになっています。

被介護者一人一人の体格に合わせ、床に足がしっかりと付き体重を支えられれば、残存機能維持につながりますし、万が一の転倒などのリスクを減らしながら安全な姿勢をとれます。

ベッドの高さ調整の目安は、被介護者の身長約4分の1ほどとなっています。

この他にも介護施設は、手すり付きベッドを多く備えています。

就寝中の寝返りによってベッドから落ちてケガをすることを防ぎ、同時に手すりを使って体を支えながら端座位の姿勢につなげられます。

端座位は生活の基本

端座位は、ただ単にベッドの端に座るだけの姿勢ですが、被介護者の生活に大きく関わります。

残存機能を維持したり、筋力をつけて自分の力で起き上がるなど、生活の質の要となる姿勢です。

半寝たきりや寝たきりの方が、端座位ができるようになれば、被介護者が自信を持てるようになり、笑顔になったり、話しかけてくれるようなります。

そのため、介護現場の雰囲気も明るくなりますし、なによりその姿を見た他の被介護者に勇気を与えたり、良い意味で変化を与えます。

端座位は、ただ単にベッドの端に座る姿勢ではなく、生活の質を大きく改善する姿勢でもあるのです。