要介護者によく見られる症状として発赤というものがあります。
見た目は赤くなっているだけですが、深刻な病気をもたらすこともあります。
ここでは発赤とは何か、その対処方法、種類の判別方法などを紹介していきます。
※本ページにはPRが含まれます。
目次
発赤とは何か?
発赤とは皮膚や粘膜の一部が赤くなることです。
赤くなるのは皮膚や粘膜内で炎症が起こっているか、もしくは皮膚の表面に近い毛細血管が拡張して充血しているかのいずれかによります。
いずれにせよ他の皮膚の色に比べて赤みを帯びているのが特徴です。
発赤が生じる原因としては外部からの刺激と内部からの反応の2種類があります。
外部からの刺激
外部からの刺激というのは摩擦のことです。
たとえば、身体のサイズに合っていない下着を着ていたり、ベルトを強く締め上げることによって擦れたり、皮膚をかきむしることなどが典型的な例です。
そのように皮膚の表面が傷ついてしまうとそれを修復しようとして、脳が大量の酸素と栄養を供給しようとします。
その結果、血管が拡張してしまって発赤になるというわけです。
摩擦の程度が軽ければすぐに赤みが引いていきますが、ひどく傷ついた場合は、炎症を起こして発赤が長引くこともあり、アザとなって現れるようになります。
内部からの刺激
また、内部からの反応というのは虫刺されや化学薬品を使用することで起こる反応のことです。
虫に刺されると体の内部に異物が侵入してきます。
それを攻撃するために免疫細胞が働いてプロスタグランジンなどの物質が生成されて血管が拡張されて皮膚に赤みが生じます。
いわゆる炎症のことです。
化学薬品を使用したときにも身体に合わない成分が入っていると皮膚が赤くなることがありますが、それと同様です。
こうした原因で発赤ができるわけです。
対処方法を知っておく!
発赤は寝たきりの高齢者によく見られる症状ですので、介護に携わっている者であれば適切な対処をする必要があります。
そのため、対処方法を知っておかなければいけません。
まずは冷やして熱を吸収する
まずは冷やすことが大切です。
発赤はそもそも炎症の1つです。
血管が拡張しているのであれば、患部を冷やすことで血管を収縮させればいいのです。
冷やしたタオルで吸熱しましょう。
皮膚をかかないように注意しよう
また、皮膚をかかないようにすることも重要です。
皮膚にかゆみがあって掻くことは摩擦を伴いますので、症状を悪化させてしまいます。
要介護者が発赤ならなるべく掻かないように指導することです。
もしくは、摩擦の緩和のためのパッドやクリームを塗って保護することもおすすめです。
ステロイドの軟膏剤を患部に塗布すれば炎症を抑制することができます。
また、打撲による発赤の場合は筋肉が痛んでいる可能性がありますので、鎮痛消炎成分であるインドメタシンが含有されている鎮痛消炎薬を使用するといいでしょう。
内部からの反応で起こっているのなら抗ヒスタミン剤がおすすめです。
反応が起こるのはヒスタミンが原因なので、その働きを抑えれば発赤を予防、軽減することができます。
発赤には種類がある!
要介護者の皮膚に発赤が見られたときには、それが「持続性のある発赤」なのか「一時的な発赤」なのかを見極めることも大切なことです。
「持続性のある発赤」とは、赤血球が血管の外に漏れている場合の発赤であり、なかなか改善されませんし、しかも褥瘡につながる可能性が高いです。
褥瘡になれば血行が滞りやすくなってうっ血性心不全、脳血管疾患、慢性閉塞性肺疾患などの病気をもたらすリスクがありますので、早期に対処する必要があります。
一方、「一時的な発赤」とは、微小血管が拡張している場合の発赤で、褥瘡になることはなく比較的すぐに改善されます。
発赤がある場合は、この2つを見極める必要があります。
判別方法は2つです!
発赤を「持続性のあるもの」と「一時的なもの」のいずれであるかを判別する方法は2つあります。それが「ガラス板圧診法」もしくは「指押し法」です。
ガラス板圧診法とはガラス板を、「指押し法」は指を使うもので、どちらも方法としては同じです。
患部に当てて3秒ほど強く押します。
その後、色が変化するかを見るだけです。白っぽく変化すれば「一時的なもの」で褥瘡にはなりません。
色が変化しない場合はしない場合は「持続性のあるもの」で症状が進行すれば褥瘡になる可能性が高いです。
どちらのタイプかで今後の治療内容が変わってくることもありますので、発見したときにはしっかりと見極めましょう。
まとめ
発赤は皮膚表面や粘膜が赤くなることをいいますが、原因は様々です。
外部から皮膚に直接刺激があった場合と、化学薬品や虫刺されによって内部から反応が起こる場合に発症します。
寝たきりの高齢者にしばしば見受けられますが、見つけたときにはきちんと一時的なものか持続性のあるものかの判別をする必要があります。
ガラス板か指で患部を押して色が変化するかどうかで簡単に判別できます。
症状の対処方法としては患部を冷やしたり、ステロイドの軟膏剤を塗布したり、皮膚そのものを保護するためにクリームやパッドを塗ることが推奨されます。