介護サービスにはフォーマルサービスとインフォーマルサービスがあります。
フォーマルサービスは、介護保険制度や医療保険制度など公的な制度や法律に基づいて行われるサービスのことです。
訪問介護や訪問看護、デイサービス、入居施設のように、介護保険を使ったサービスはフォーマルサービスに当たります。
ではインフォーマルサービスとはどういったサービスなのか見ていきましょう。
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目次
インフォーマルサービスとは何なのか
公的機関を使ったサービス全体をフォーマルサービスといいますが、反対にインフォーマルサービスとは、公的機関のサービスを用いないサービスのことを言います。
インフォーマルサービスは、NPO(利益を目的としない非営利団体)、社会福祉協議会、JA、生協などが提供しているものもあれば、地方自治体が提供している場合もあります。
また、ボランティアや家族や近隣住民による支援もインフォーマルサービスに位置します。
現在国は、2025年を目標に「施設から在宅へ」介護の場を以降する「地域包括ケアシステム」を打ち出しています。
地域包括ケアシステムは自治体レベルで地域の高齢者を見守り、サポートしていくシステムですが、それには細やかなサービスが必要となってきます。
そこで、フォーマルサービスを活用しながら、現在の介護保険制度ではカバーできない部分を補ってくれるインフォーマルサービスが生まれたのです。
インフォーマルサービスの種類
インフォーマルサービスには以下のようなものがあります。
NPO法人やボランティアによるサービス
NPO法人には、訪問介護事業所として介護保険内のサービスの他に、見守り支援や安否確認、宅食、外出支援、話し相手など、様々な介護保険外のサービスを提供している場合があります。
家族・友人・知人・民生委員・地域住民など近隣住民によるサービス
家族や近隣住民の声掛けや見守り、安否確認なども立派なインフォーマルサービスです。
一人暮らしの高齢者を地域で声を掛け合いながら見守っていくなど、小さなことが大切です。
市町村が行うインフォーマルサービス
社会福祉協議会では、家事援助、デイサービス、送迎、安否確認、ゴミ出し、声掛け、生活福祉資金の貸付等があります。
ボランティア団体との連携や情報共有もしており、相談することで様々なインフォーマルサービスを紹介してもらえます。
民間事業所によるインフォーマルサービス
民間業者による有料のインフォーマルサービスには生協やダスキン、宅配業者による見守りサービスがあります。
また、ゴミ出し支援や家事援助、庭掃除など、様々なサービスを提供している場合があります。
最近ではケアマネージャーがインフォーマルサービスをケアプランに組み込む例も増えています。
その他、自治体やその地域や団体にしかない様々なサービスもあります。
インフォーマルサービスのメリット、デメリット
インフォーマルサービスはフォーマルサービスのような縛りがなく、柔軟で幅広いサポートが受けられます。
また、高齢者だけでなく家族もサービスを受けられるのが特徴です。
保険がきかないので全額実費負担となりますが、比較的安価なサービスを受けることができます。
デメリットとしては、連続して安定したサービスを受けにくいことや、専門性が低く、トラブルの際に責任の所在が分からない場合があるということがあげられます。
しかし、どちらが良いというわけではなく、インフォーマルサービスをうまく利用することで住み慣れた地域で暮らし続けることができます。
一方で、フォーマルサービスのメリットは安定したサービスを無料、または安価に受けられることです。
地域包括ケアシステムとの連携が鍵
地域包括ケアシステムとは、誰もが住み慣れた地域で、「医療・介護・介護予防・生活支援・住まい」の五つのサービスを、一体的に受けられる社会を構築するシステムです。
介護が必要な人も、必要でない人も、自分らしい暮らしを続けながら人生の最後を迎えられるよう国が定めた制度といえます。
その中で介護保険などを利用した公的機関では賄えない部分を補うために生まれたのが、インフォーマルサービスです。
適切なインフォーマルサービスを実施していくためにはまず、地域包括ケアシステムが正常に機能する必要があります。
そのためには、医療機関や介護施設、地域包括支援センターが職種の垣根を越えた連携をとってはじめて地域包括ケアシステムやインフォーマルサービスが機能するのです。
住んでいる地域のインフォーマルサービスを知ることから
介護を必要している高齢者やその家族は、インフォーマルサービス自体を知らないこともあります。
ケアプランを考える立場にあるケアーマネージャーであれば、利用者に合ったインフォーマルサービスを提供することを考えますが、一方で、一介護職員として利用者に合ったインフォーマルサービスを考える場面は少ないといえます。
しかし、インフォーマルサービスが役立つのは決して利用者やそのご家族だけとは限りません。
自分が住んでいる地域のインフォーマルサービスにどのようなものがあるのか知っておく事は、介護の仕事をするにあたっても、また、その地域に住み続ける自分自身にとっても必要なことです。
インフォーマルサービスをはじめとした知識は、高齢者やご家族の支援や相談といったサポートにも役立ちます。