「拘縮(こうしゅく)」という言葉がありますが、この言葉を初めて聞く人もいるでしょう。
拘縮とは関節が固くなってしまう状態を指す医療用語ですが、一般の方にとってこの言葉が示す体の状態はイメージしくいと思われます。
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目次
拘縮に原因は?
拘縮とは関節によって繋がっている2つの部分が、筋収縮してしまった状態で硬くなってしまうことを指しています。
具体的には体の各部分部分が固まってくっついてしまい、関節が曲がった状態で伸びなくなってしまうのです。
拘縮は寝たきりの高齢者や、安静にしなければならない方によく起こりますが、体が曲がることを制限されてしまうのが「伸展拘縮」。
体が伸びることを制限されてしまうのが「屈曲拘縮」と言います。
関節の動きが減ると拘縮が生じやすい
拘縮が起こるのは、ケガや病気などで関節を動かすことが減ることで関節が硬くなってしまうからです。
関節を動かさない状態が続くと、拘縮が起こる原因となってしまいます。
体の筋や足の腱、皮膚などが縮んでしまい、関節が伸びなくなってしまうことで拘縮が起こるのです。
また筋力の低下と拘縮にも、深い関係があると言われています。
その他にいわゆるぎっくり腰でも拘縮が起こりますが、これは腰の痛みをかばいながら動くことで、逆にその部分が動かしづらくなるという悪循環に陥るのが原因です。
もっと拘縮について知ろう
拘縮が起こるのは高齢者に限ったことではありません。
神経の病気や脳の障害などが原因となったり、骨折治療での長期ギプス固定が原因だったりするため、年齢に関係なく運動が制限される状態が続くと、数日間ほどで固定された箇所から拘縮が始まります。
固定された付近の部位の曲げる・反らすなどの動作が、ほとんどできなくなるのです。
リハビリスタッフのいない介護施設では拘縮の問題は大きく、拘縮で関節が硬くなって痛みが出たり、褥瘡などで日常生活にも大きな悪影響が出てくるため、スタッフは拘縮に関する知識を持ち医学的なメカニズムを知ることが重要になってくるでしょう。
拘縮を予防するためには?
またそのためには、拘縮予防をしていくという視点も必要になってきます。
拘縮の予防にはできるだけ早期にリバビリを始めることが重要になるので、安静期間中の方は動かしても大丈夫な関節から動かすようにしましょう。
それでも拘縮が起きてしまったのであれば、積極的にリハビリを進める必要があります。
特に寝たきり状態の高齢者は下半身のうち関節を含む足や膝の拘縮が起こりがちになりますが、自分の力で関節を動かすことができないので、理学療法士などの指導の下でリハビリを行っていきます。
どのようにリハビリをしていくのか?
拘縮のリハビリをする上で最も重要なのは、痛みが出ないように極力注意することです。
関節可動域と呼ばれる関節が動く範囲を動かしていく運動を基本に、無理のない範囲で関節可動域を広げていきます。
筋緊張をほぐしていく際に、特に痛みを感じさせないないように注意していましょう。
リバビリは、上半身と下半身を別々に行います。上半身のリハビリはまず最初に仰向けに寝ている状態のままで頭の上まで腕をあげます。
その次に肩関節を外側と内側にゆっくり動かしてください。
同じように腕も外側と内側に動かした後に、肘の関節を伸ばしていきましょう。
手首と手指を曲げたり伸ばしたりしながら、腕を肩から手の先まで全部まんべんなく動かすことを意識することが大切です。
下半身に関しては、ポイントとしては股関節と膝関節の屈曲と伸展を同時に行うことでしょう。
上半身と同じように股関節を外側・内側の両方に動かした後にまわしてあげた後に、膝関節も同様に動かしてしていきます。
下半身全部をゆっくりと動かしていくことが重要です。
リハビリと同じくらい大切なことは?
拘縮のリハビリをしたくても自力で全く体を動かせない方に関しては、拘縮防止のために安定した姿勢を維持できるようにすることが大切です。
これをポジショニングと言い、クッションなどを上手に利用しながら姿勢の調整をしていきます。
このポジショニングによって体が固まってしまうことを防ぐことで、床ズレの防止や安定して食事ができるような姿勢をキープしていくのです。
拘縮による痛みや不快感で、ポジショニングが難しくなってしまうとますます拘縮が進んでしまうので、毎日のリハビリやエクササイズを欠かさないようにしましょう。
固まった関節を直接動かすことも重要ですが、まず姿勢のポジショニングや車椅子のシーティングがしっかりしていなければ、拘縮を予防することができません。
まとめ
主に寝たきりの高齢者に起こりやすい拘縮ですが、体の様々な部分が固まってしまって関節が伸びなくなってしま状態を指しています。
関節を動かさないことが拘縮の原因ですが、この状態が続くことで体のあらゆる部分が縮んでしまいという弊害が起こり、筋力の低下に繋がってくるのです。
こうした拘縮を防ぐにはできるだけ早くリバビリを始めることですが、自分の力で関節を動かすことができない方は、痛みが出ないように注意しながら、スタッフによるリハビリを行うことが重要です。
関節が動く範囲を広げてほぐしながら、リハビリをしていきましょう。
上半身と下半身のそれぞれの部位を外側と内側に動かしていきながら、関節を伸ばして全身を動かしていくようにします。
また拘縮改善のためのリハビリはスタッフの独断で行わず、理学療法士による指導に従ってください。