介護についての用語のなかで、「床」に関する言葉として、「臥床」があります。
「臥床」という言葉はベッドなどの上で横になっている状態を指すものですが、今回は介護の場面でこの言葉がどういう意味を持ち、それがどのような介護行為なのかということを見ていきます。
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「臥床」の意味とは?
「臥床」とは、「がしょう」と読み、ベッドの上などに横になっている状態を指します。
この言葉自体は介護の場面に限られたものではなく、病気などに関わらず横になっている状態であれば「臥床」という言葉を用います。
「臥床」という言葉でよく誤解されがちなのが、この言葉が「寝たきり」状態を意味するわけではないということです。
確かに寝たきり状態の要介護者には臥床介助が必要ですが、先ほど述べたように「臥床」という言葉自体はただベッドなどの上に横になっている状態を指す言葉ですので、「臥床」そのものに寝たきりという意味はありません。
臥床介助とは?
臥床介助とは、起きている人を寝かせる介助のことを指します。
例えば介護の場面では、おむつ交換などの際に車いすの方をベッドに乗せる必要などがありますが、車いすからベッドに人を移動させて寝させることも臥床介助に含まれます。
また、臥床介助が求められるほかの場面としては、就寝時の場面があるでしょう。
就寝時の介助のことを就寝介助といいますが、高齢者などをベッドに寝かせる行為も臥床介助です。
そのほかにも、要介護者がお風呂やトイレから戻ってきて、ベッドに寝かせる行為も臥床介助ということができます。
臥床介助で意識するポイントは?
臥床介助の際に意識したいこととしては、介護を受ける人の体重をしっかりと支えることです。
その点への意識が薄くなると、うまくバランスをとることができずに、介護を受ける人の体をベッドの柵にぶつけてしまうことに繋がってしまいます。
慌てずにゆっくりと介助を行いましょう。
また、臥床介助をする際は、介護を行う人の負担にも注意が必要です。
寝かせる作業ではどうしても腰に力がかかっているので、可能な限り腰のケアを心がけましょう。
臥床状態の弊害は?
臥床状態が続くことは、人体に多くの弊害をもたらします。
臥床患者の方の多くが脳梗塞のような脳血管障害や骨折といった要因で長期間の臥床状態を余儀なくされていますが、その状態が長く続くことで、体の様々な器官の機能が低下してしまうのです。
まず大きく低下してしまうのが、体力と筋力です。
風邪が長引いて横になっている期間が長くなった時のことを想像すると理解しやすいかと思いますが、体力が落ちるスピードは早く、高齢者であればあるほど、その回復にも時間がかかってしまいます。
下半身の筋肉とは特に落ちやすい
また、筋力も同様であり、臥床状態ではとくに下半身の筋肉は著しく低下します。
高齢者が下肢の骨折から寝たきりになってしまうのも、この筋力の低下が大きな原因です。
さらに、臥床状態では体のどこかがかならず床に接していることになるため、血行にも影響が出ます。
寝たきり状態となると、血行の不良は床ずれなどに繋がることもあるため、注意が必要であるといえます。
臥床患者の介護に求められること
これまで見てきたように、臥床状態には様々な弊害があります。
筋力や体力の低下、血行不良といった健康への悪影響を軽減するためにも、臥床介助には細やかな配慮が求められます。
その方法は臥床状態の程度によっても異なりますが、寝たきり状態であれば、血行不良からくる床ずれを防ぐために一定の間隔で体を動かしてあげることが必要です。
つまり、臥床状態であったとしても、できるだけ体を動かすことが様々な弊害を軽減するためには必要になります。
できるだけ早期に離床したり、臥床状態でも可能な運動を考案したりするのも有効です。
また、ベッドの周辺環境を整備することも重要となります。
気温や湿度といった基本的な部分はもちろん、においや光、音といった部分まで配慮することで、介助の質は大幅に向上することでしょう。
シーツ交換などを通じてベッドやその周辺を清潔に保つことも、患者さんにとって快適なだけではなく感染予防といったことにも繋がりますので、こまめに行っていきましょう。
まとめ
ベッドの上などで横になっている状態を指す言葉である「臥床」。
「臥床」そのものは「寝たきり状態」を指す言葉ではありません。
また、臥床介助は介護の場面で必ず必要になる行為です。
起きている人をベッドなどに寝かせる介助である臥床介助には、介護を受ける人を紙おむつの交換のためにベッドに寝かせたり、お風呂やトイレから戻ってきて再びベッドに寝かせたりするといった行為が含まれます。
臥床介助を行う際には、介護を受ける人の体重のバランスに配慮するとともに、介護をする人の身体的負担にも目を向ける必要があるでしょう。
また、臥床状態には筋力や体力の低下、血行不良といった様々な弊害もあります。
しかし、可能な限り介護を受ける人の運動を補助するなどして、その影響を軽減していくことが可能です。
介護の質を上げていくためには、臥床とはどのような状態で、どのような弊害があり、それをなくしていくためにどういった工夫ができるのかを考えていくことが必要となるでしょう。