介護職をしていく上で様々な専門用語を覚える必要がありますが、ある程度の医療用語も覚えておいたほうが実際に仕事を行う上で役に立つ場合があります。
そこで、バイタルサインの一つであるsatについて紹介します。
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バイタルサインとは?
SATとはバイタルサインの一つになるのですが、そもそもバイタルサインとは何を指すのでしょうか。
「血中の酸素濃度」「脈拍」「呼吸」「体温」「血圧」「意識レベル」などをバイタルサインと呼びます。
介護する上で、このバイタルサインは常に気を配らなければならないもので、体温や血圧が高かったら入浴は避けなければならないなど様々な判断にバイタルサインは使用されます。
高齢者の場合は、平常時のバイタルサインを把握しておくということも非常に重要です。
一般的な正常な数値であったり、異常な数値ということも重要ではありますが平常時のバイタルサインとの差が大きいことで異常を察知するということもあるからです。
バイタルサインの異常によっては、医師や看護師への速やかな相談が必要になることもあります。
SATは血中の酸素濃度
SATは血中の酸素濃度のことで、サチュレーションやSPO2(エスピーオーツー)などとも呼ばれます。
医療ドラマなどでもサチュレーションという言葉はよく聞くと思いますが、SATはsaturationの頭文字を取った呼び方です。
SATは%(パーセント)単位で数値が出ます。
この数値は具体的にどのようなものかというと、血液には赤血球というものがあります。赤血球の中にあるヘモグロビンの中で酸素と結合しているヘモグロビンがどの程度あるかというものになります。
正常な値は99%に近いものになります。
しかし、呼吸器などに異常がある場合や高齢者の場合だと体内に取り入れられる酸素の量が減ってしまうため数値が低下してしまい90%を切ることもあります。
常時95%を切る数値になっている場合は在宅酸素の処方が受けられるので、医師の診断を仰ぐ必要が出てきます。
SATの測り方と注意点
SATの測り方ですが、パルスオキシメーターで測るというのが基本です。
パルスオキシメーターは、指先にクリップのような測定器を装着し計測するというものが一般的なものです。
使用する機種などにもよりますが、短いものでは10秒ほどで数値が表示されます。
しかし、より正確に計測する場合には1分程度かけて計測するというのが基本です。
特に高齢者などで手に震えなどがある場合には、動脈と静脈の区別をすることが難しくなるので数値の信憑性が下がってしまいます。
そのため、測定する人間はもちろんのこと測定される側も落ち着いた環境で計測することが大切です。
また、SATは単純に数値だけで判断することが難しいバイタルサインでもあります。
喫煙者の場合、喫煙後は本来測るべき酸化ヘモグロビンだけでなく一酸化炭素ヘモグロビンも存在していて、介護の現場で使用するパルスオキシメーターでは区別をすることが難しくなります。
本当はSATが低いのにも関わらず数値は高く出てしまうという場合があります。
また、貧血の人にも注意が必要です。
貧血というのは、血中のヘモグロビン濃度が低い血液が薄くなった状態です。
つまり、SATの数値が正常であってもヘモグロビン濃度そのものが低いので十分な酸素量になっていないというケースがあるからです。
SATが低いとどうなる?
satが低い状況とは、肺炎、気管支喘息、肺水腫、COPDなどの病気が考えられます。
低下した状態だとSAT以外の呼吸回数や脈拍数、血圧などに何らかの異常がみられますのですぐに医師や看護師に相談する必要があります。
SATが低い状況が進んでしまうと深刻な症状になることも少なくありません。
酸素が足りなくなる訳なので、意識レベルが下がり場合によっては意識を消失する状態にまでなってしまうことがあります。
また、酸素が体の隅々まで送られないということは様々な組織にダメージを与えることになります。
悪くすれば組織の壊死などにも繋がってしまうのです。
SATのまとめ
SATは様々なバイタルサインの一つで、血液中のヘモグロビンにおける酸化ヘモグロビンの割合を表したものです。
一般的には99%程度あるのが普通とされていますが、高齢者や呼吸器に異常がある場合にはそれよりも低いこともあるので注意が必要です。
介護の現場においては、SATの数値をそのまま鵜呑みにするのではなく、正常値であっても通常の数値との違いやその他のバイタルサインと合わせて考えることが大切になります。
高齢者においては年代が上がるごとに肺炎による死亡率が高まりますので、satの重要性は増しています。
肺炎はなかなかはっきりとした症状が出ないことも多いので、なんとなく元気がないという人やぼーっとしている人、食事に時間がかかっている、鼻水がたくさん出るなどといった普段と違う状況だと感じたらSATの数値を確認するようにしましょう。
SATだけに限りませんが、普段の様子との違いをしっかりと把握できるかどうかが数値よりも重要になるケースが多いです。